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私たちの健康に「油のバランスが大切」「良い油と悪い油がある」ってご存知ですか?
最近、自分の健康に不安や悩みを抱える人が増えています。とくに肥満や高脂血症、心臓病、糖尿病といった生活習慣病やアトピー、花粉症、鼻炎、ぜんそくといったアレルギー性疾患の増加が目立ちます。
なぜこんなに生活習慣病やアレルギーが急増したのでしょうか
その原因としてまず考えられることは、私たち日本人の食生活が大きく変わったことがあげられます。

昔からの野菜や魚中心の食事から、肉や卵、乳製品などを多く用いた洋風の食事へと変化してきました。戦後、食生活はたいへん豊かになりましたが、それがいき過ぎた結果、かえって健康を損なうことが増えてしまったのです。そのため近頃はさかんに食生活の見直しが叫ばれるようになりましたが、意外と見落とされているのが、油のとり方の問題です。


動物性脂肪のとりすぎは良くない、ということはよくご存知ですね。コレステロールや中性脂肪が増え、血液をドロドロにして高血圧や動脈硬化を招きやすくなるからです。
そこで「動物性脂肪のかわりに、体に良い植物性の油(リノール酸)をとろう」と言われるようになりました。ところがこの「リノール酸神話」も実は間違っていたということがわかってきたのです。

リノール酸は必須脂肪酸の一つですから体に必要な油で、適量とれば健康に役立つのですが、とり過ぎると、やはり生活習慣病やアレルギーにつながることが明らかになってきました。

問題は私たちが気のつかない間に、いつの間にかリノール酸を過剰にとり過ぎているという現実です。
食事の洋風化に伴い、私たちが消費するリノール酸の油の量は急速に増えました。焼く、炒める、揚げるといった油を使った料理が多くなったからですが、調理に使われる油は植物性のリノール酸がほとんどです。調理の油以外にも数多くの食品にリノール酸が使用されています。

*リノール酸を使った食品(一例)
・調味料(ドレッシング、マヨネーズなど)
・ファーストフード(ハンバーガー、フライドポテト、フライドチキンなど)
・コンビニのお弁当
・加工食品
・インスタント食品
・スナック菓子

私たちは、こういった普段の食事から、知らず知らずのうちに、リノール酸の油をしっかりと体の中にとり入れてしまっているのです。

その結果、体に大切な油のバランス−とくにオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスが大きく崩れ、慢性病やアレルギー体質のまん延を招いている、と専門家は警告を発しています。

リノール酸は、オメガ6脂肪酸の代表的な油です。一方、オメガ3脂肪酸には、シソ油(エゴマ油)や、亜麻の種を絞って作る亜麻仁油などのアルファ・リノレン酸の油があります。

欧米では昔から健康に良い油として高い人気の油−亜麻仁油
亜麻仁油は、日本ではなじみが薄いですが、アメリカの栄養療法では、リウマチ、アレルギーなどの炎症に悩む人たちや、コレステロールや血圧、心臓病などが心配な人たちに、亜麻仁油が積極的に薦められています。

オメガ3脂肪酸には、亜麻仁油のほかに、魚に含まれているDHAやEPAといった油があります。DHAやEPAは血液をサラサラにして、血栓などの病気を予防すると言われています。オメガ3脂肪酸がいかに体に良い働きをする油であるかよくおわかりになると思います。

このオメガ3とオメガ6の脂肪酸のバランスは1:4の割合が望ましいと厚労省は発表していますが、日本脂質栄養学会では「1:2」にすべきだと提言しています。ところが、現実には、1:6とか1:8、あるいは1:10を超えてしまう場合が増えています。
とくに洋食やファーストフード、加工食品を食べる機会の多い若い人たちにその傾向が強く見られます(アメリカでは1:20を越すケースも少なくないようです)

理想的なバランス「1:2」を心がけるには
理想的なバランスが1:2といっても、リノール酸を含む食事や食品を気がつかないうちにとっていることが多いので、「1:1を目標にするぐらいで、結果的に1:2のバランスになるだろう」と指摘する専門家もいるほどです。私たちは意識してオメガ6脂肪酸(リノール酸)を控え、オメガ3脂肪酸(亜麻仁油やDHA、EPAなど)を積極的にとるよう心がけたいものです。
オメガ3のアルファ・リノレン酸は、野菜や海藻にも少し含まれていますから、こうしたものもしっかりとって、ぜひ体に良い油のとり方のバランスに気を配ってください。

ところでトランス脂肪酸をご存知でしょか?
体に害を及ぼす人工の油で、欧米では出来るだけ摂取しないよう注意されているものですが、日本ではこのトランス脂肪酸がもつリスクについては、まだほとんど認識されていないのが実情です。

トランス脂肪酸を含む代表的な食品−マーガリン
液体状の植物油に水素を添加し、人工的に固形化したマーガリンは、世界各国にバターの代用品として広く消費されるようになりました。動物性脂肪のバターより、植物油でできたマーガリンの方が体に良いと考えられていたこともあったのでしょう。ところがその後の研究で、植物油に水素を添加して人工的に固める際にトランス脂肪酸が生成され、心臓疾患やアレルギーなどさまざまな病気の危険性を高める可能性がわかってきたのです。

世界各国の対応
オランダではすでにトランス脂肪酸を含有する食品の販売が禁止になっています。デンマークでもトランス脂肪酸の制限をもうけ、基準を超える食品には販売禁止の措置がとられています。その他のヨーロッパの国々やカナダでも、食品に含まれるトランス脂肪酸の含有量の表示が義務づけられ、国民が自分の判断でトランス脂肪酸の摂取をさけることができるようになっています。
対策の遅れていたアメリカでもいよいよ2006年1月より、食品へのトランス脂肪酸の表示義務がスタートしました。


こうした欧米の動きと比べると、トランス脂肪酸に関するわが国の対応が大きく遅れている事実は否定できません。厚生労働省では「第6次改定 日本人の栄養所要量」の発表のなかで『トランス脂肪酸の摂取量が増えると、血漿コレステロール濃度の上昇、HDLコレステロール濃度の低下など、動脈硬化症の危険性が増加すると報告されている』と緩やかな警告を述べているにすぎません。欧米と比べると、日本人がトランス脂肪酸をとる機会はそれほど多くない、と見なしているのでしょうか。

気がつかないうちに、体の中にとり入れてしまっているトランス脂肪酸
トランス脂肪酸を含有する代表的な食品、食材がマーガリンとショートニングです。マーガリンはトーストに塗るだけでなく、菓子パンや加工食品にもよく使われます。またショートニングはクッキー、ビスケット、パイなどを作るときに欠かせません。したがってトランス脂肪酸も同じように、気がつかないうちに、体の中にとり入れてしまっているのです。

私たちは自分の健康を自分で守るためにも、もっともっと日頃の油のとり方に注意を払わなければなりません。ふだん摂りすぎているオメガ6脂肪酸のリノール酸をもっと控え、亜麻仁油やEPA、DHAといったオメガ3の油を積極的に摂る必要があります。またトランス脂肪酸が含まれる食品をとるときは、とり過ぎないよう十分に気をつけてください。


油の種類は、大きく分けると飽和脂肪酸(動物の肉類、乳製品に多く含まれる油で、常温で固体)と不飽和脂肪酸(植物、魚などに多く含まれる油で、常温で液体)の二つに分かれます。

また不飽和脂肪酸は、さらに一価不飽和脂肪酸(オリーブ油、マカデミアナッツ油などに多く含まれるオレイン酸などのオメガ9系の油)と多価不飽和脂肪酸(サンフラワー油、コーン油などに多く含まれるリノール酸などのオメガ6系の油とシソ油、魚油などに多く含まれるアルファ・リノレン酸などのオメガ3系の油)に分かれます。

※オメガ3系の油である亜麻仁油は、加熱すると変質しやすいので、生での使用(ドレッシング、パスタ、スープなどの調味料に)をお薦めします。加熱料理にはオメガ9脂肪酸の油が適切です。とくにマカデミアナッツ油は沸点が210℃とオリーブ油の沸点の160℃より高く、より安心して使えるうえ、オリーブ油のような油っぽさのないあっさりした風味なので、日本人の味覚や好みに合うと思われます。