昨年度の2023年7月、全国の平均気温は平年と比べ1度以上高くなり、気象庁が統計を取り始めてから最も暑い7月であったとされています。
気象庁によると、今年の6~8月にかけての3ヶ月の気温は全国的に高い見込みであり、昨年のあの猛暑が再来するのではないかといわれています。
気温や湿度が高く、気圧が目まぐるしく変化するこの季節は、身体にとって大きなストレスになります。そうしたストレスは医学用語では『不定愁訴(ふていしゅうそ)』といわれるさまざまな不調として現れます。近年では気象の変化による不調を「気象病」という名称で認識されるようになってきました。
気温や湿度、気圧の変化が引き金になって発症する「気象病」ですが、そのメカニズムは、耳の奥にある『内耳』が刺激を受け、自律神経である交感神経と副交感神経がバランスを崩すことで頭痛・めまい・不眠などのさまざまな不調を引き起こします。
経済協力機構が33ケ国で行った調査(2021年)では、日本人の睡眠時間は7時間22分で先進国の中でも最も短いという結果でした。現代社会では夜型化と短時間睡眠化が進行し、労働の質的変化もあって、慢性的な睡眠障害を訴える人が増えています。
厚生労働省は、医療機関が掲げることができる診療科名に「睡眠科」を追加する方針を固めました。診療科名を分かりやすく表記することで、患者が医療機関を選択しやすくなるという狙いがあります。
前記のように日本人は睡眠時間が短く、睡眠障害は現代の「国民病」ともいわれます。さまざまな病気のリスクを高める恐れがあるため、適切な治療につながることが期待されます。
自律神経のバランスの崩れから睡眠トラブルが増えるこの時季、万全の対策をとっていきたいものですよね。
わたしたちは身体の外から受ける環境や内部の変化にかかわらず、身体の状態(体温・血糖・免疫など)を一定に保たれるようになっています。その能力をホメオスタシス(生体恒常性)といいます。
わたしたち人間の身体は、数十兆個の細胞からなっています。それが一定の営みを続けられるのは、ホメオスタシスを維持できているおかげです。たとえばわたしたちの体温は、約36℃程度に保たれています。身体の状態を一定に保つ力は、自律神経、免疫、ホルモンで実現しますが、その中でも自律神経が整っていれば、免疫もホルモンも良い状態を保つことができます。
そのためには、生活リズム、生活習慣が大きく影響します。
自律神経を整えるカギは、「睡眠」「運動」「食事」です。
睡眠で生活のリズムを整え、運動で心身をリラックスさせ、自律神経をコントロールしてくれる栄養素をしっかり摂ることが大切です。
食事はもちろん大事ですが無理にたくさん食べればいいというわけではありません。必要な栄養素を含んでいて、胃に負担がかかりにくい食べ物をバランスよく摂りましょう。寝る直前の食事は睡眠を浅くするためおすすめできません。就寝の3時間前には食事を終えるようにしましょう。
また、食事で摂ることが難しい栄養素はサプリメントを上手に利用しましょう。