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2024.5.1

フレイル対策と認知症の予防

初夏の訪れを感じる風に青葉が薫り、過ごしやすい季節となりました。

人生100年時代といわれる中、高齢者の増加や生活習慣の変化によって、フレイルや認知症がより広く認識されるようになりました。

フレイルとは、加齢に伴って心身の機能が衰えた状態で、介護一歩手前を指します。健康寿命に大きく影響を及ぼします。

ひざや腰が痛い、目が見えづらいなど、身体の衰えに関することは「身体的フレイル」といいます。加齢や運動不足が原因となり、骨や関節、筋肉、神経など運動に必要な身体機能が低下する「ロコモティブシンドローム」や、筋肉量が減少する「サルコペニア」も身体的フレイルの一つ。サルコペニアは発症すると転倒や骨折のリスクが高まりますし、将来寝たきりになる可能性も高いとされ、認知症のリスクが増すことも分かっています。

独り暮らしや一人きりでの食事、外出や人と関わる機会の減少は「社会的フレイル」、うつや認知機能の低下は「心理・認知的フレイル」と分類されます。しかし「身体的フレイル」も含め、これらは決して別々に存在しているわけではありません。人とのつながりが薄くなったことで、認知機能が下がり、そのせいで余計に身体的な活動も減り、ひざが動かなくなる…というように、生活習慣や社会性などが互いに関連しています。つまり、一つの歯車が悪い方向に向くと、ほかの歯車も悪い方向に動いてしまいます。逆に、頑張ればその分、歯車は良い方向にも動くのです。

フレイルになると、認知機能が低下しやすく、認知症を発症するリスクが高いとされています。認知症とは、記憶や判断などを行う脳の機能(認知機能)が低下し、日常生活や仕事に支障をきたすようになった状態のことをいいます。加齢による要因が大きいので、完全に発症を予防するのは難しいとされていますが、「発症を遅らせること」も重要です。これには「早期発見してできる治療をする」も含まれます。そしてある程度進行した段階で見つかることも多い認知症だからこそ「進行を緩やかにすること」も対策として大切です。

最近は、生活や仕事に支障をきたさないような軽い症状でも軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)など早期診断がなされるようになりました。

最近の研究から、認知症は生活習慣病と深い関係にあり、生活習慣を改善することで認知症の発症を抑制する効果があることが分かってきました。

厚生労働省は、生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」であると定義しています。具体例には高血圧、脂質異常症、肥満、糖尿病などがあり、認知症全体の60%以上を占めるアルツハイマー型認知症の発症には、この生活習慣の問題が危険因子であることが指摘されています。

このことから、生活習慣の改善は、生活習慣病の予防のみならず認知症の予防にも効果的です。

実際の生活の中で気をつけるべきことは、食事・運動・睡眠という基本的な習慣を見直すこと、そして社会活動の参加です。

⚫️食事は、身体をつくる基盤となる大切な習慣です。規則正しい時間に1日3食、バランスの良いメニューと適切なエネルギー量を心がけましょう。

⚫️運動は、生活習慣病の危険因子を取り除き、脳の状態を良好に保つ効果があります。有酸素運動は非常に有効で脳の血流を促してくれます。30分程度のウォーキング(6、000歩以上)を週5回程度できるようにしましょう。

⚫️良質な睡眠は脳内のゴミを効率よく排泄するために必須といわれています。

⚫️4つ目に強く推奨したいのは、「外に出て、人と話すこと」です。高齢になると、外出することが億劫に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、外に出て人と会うことは、身なりを整える、持ち物を準備する、集合時間に間に合うように逆算して家を出るといった段取りを考えるなど、脳にさまざまな刺激を与えます。認知症になると、このように順序立てて行動することが難しくなるため、何気ない外出であっても積極的に参加しましょう。

日々の生活習慣の改善が認知症予防、目の健康、ロコモ予防などフレイル対策につながります。今一度、ご自身の生活習慣を見直してみませんか?たんぱく質をはじめとする身体の材料となる栄養素や脳の健康をサポートする成分を積極的に摂ることもオススメです。